おまめ日記

都内商社勤務の傍ら、築古アパート4棟32室を運営している兼業大家の雑記ブログです。

【不動産投資】物件購入シュミレーション 〜亀有重鉄アパート〜

こんにちは。おまめです。

 

不動産仲間が始めたブログの企画がとても面白かったので、ひっそりとマネしてやってみようと思います。「思考の言語化」というプロセスを通じて、感覚寄りの自分の投資判断を明確にするのと同時に、作業を繰り返すことで物件評価に幅(投資対象)と深み(様々な尺度での価値判断)を持たせることが最終目標です。

あと、今日から文字を大きくしてみました(笑)。

 

人気ブログランキング参加しています。応援よろしくお願いします。

 

物件概要

今日のお題は過去に実際に検討していたこの物件です。

www.oh-mame.net

あの当時はまるで恋する乙女のように、熱に浮かされてあの手この手で必死に購入を検討していましたが、色々と勉強して冷静になった今も同様に取り組みたいと思うのか、改めて検証してみることにしました。ということで、物件概要です。

 

物件価格 5800万円 → 5100万円まで指値成立
表面利回り 10.01%
立地 JR常磐線亀有駅徒歩8分
土地権利 所有権
土地面積 166.28平米
接道状況 南西側幅員4mの位置指定道路に4m接道
用途地域 第1種住居地域
建ぺい率 60%
容積率 200%
築年 1992年7月
延床面積 90.96平米/1F、81.39平米/2F、58.80平米/3F
構造 重量鉄骨造陸屋根3階
総戸数 9戸
備考 1階スケルトン渡し、瑕疵担保免責

 

 

1)KOF(ライチさんから借用しました)

一つでも該当すればその時点で即撤退という絶対的NG基準を設けることで、「可能性がない物件に時間をかけることを避ける → 結果的に調査出来る物件の数を増やせる」という非常に合理的な判断方法です。

「物件評価」をきっちり行うためには様々な角度から分析していかないといけないのですが、まずKOFから入っていくことで徹底的にムダを省くことが出来ます。この要素も人によって異なると思うのですが、僕の場合は下記。

 

・借地権

・再建築不可

・市街化調整区域

・建築基準法違反

・旧耐震

 

で、早速本物件について。当時は気付かなかったのですが、「接道条件」の書き方が絶妙な表現になっています。

南西側幅員4mの位置指定道路に4m接道。。。

ちゃんと接道しているし、4mあるし大丈夫でしょ、って思います。巧妙ですね。ここで、位置指定道路の持分があるのかな?という点に疑問を持つことが重要でした(結果、ありましぇんでした)。

 

売買交渉の過程で、売主側も前面道路の掘削許可を取り付けてくれたり、価格も最終的に700万円下げてくれたりしましたが、本来であれば「近隣住民の反応によっては、再建不可になる可能性を孕んでいる」という時点で、撤退すべき案件だったのかもしれません。。。

都内23区、駅徒歩8分、10%超、高積算の物件に完全にノメり込んでいる状態でした。ということで、今回はKOされて試合終了です。

(完)

 

だと流石に味気ないので(笑)、もう少しだけ続けます。

 

 

2)物件価格と資産価値(積算評価)

最近、物件購入時に一番重視しているポイントです。

法人での物件購入を進めていくために、貸借対照表の状態には結構気を配るようになりました。いわゆる資産超過の状態を作り、銀行評価を高めながら(+黒字決算で税金をキッチリ納めながら)融資を継続的に引くという事業規模拡大のための作戦です。

積算評価の計算方法ですが、僕はこれまで耐用年数超えの物件しか購入してこなかったので、最初から建物部分はカウントしていません。純粋に相続税路線価だけで見ています。築浅のRCなどは建物評価も結構出るのですが、いずれは減価償却で消えてしまうものなので、例え残存年数が残っていたとしても意図的に土地の評価だけを見るようにしています。

 

本物件は位置指定道路の奥まった場所にありますが、路線価255Dに面しており、路線価額4230万円となります(厳密に言えば位置指定道路の奥地なので80%程度の掛目を入れた方が良い気がしますが)。最終値下げ後の5100万円に対しては路線価額が83%ありますので、土地の価値としてはOKラインです。

今は購入物件の基準を、「路線価=売価x80%」を条件として買い付けを入れています。この水準で買えれば、ほぼ土地の実勢価格で上物付きの物件が購入出来るため、大きな失敗がありませんし、数年返済すれば資産超過の状態を作れます。次に繋がる、負けない物件の買い方です。

 

 

3)収益性(CF)の検証

次は収益性の検証です。ここでの重要なポイントは

・賃料設定が相場と合っているか?

・レントロールに不自然なところはないか?

・そもそもちゃんと客付けができる物件か?

これらの項目に注意しながら検討していきます。

 

先ほどの位置指定道路に加えて、本物件の要注意点は物件の現使用状況でした。備考欄に「1階スケルトン渡し」と書かれていますが、ここで「ん?」と思えるかどうかが大事なポイントです。僕の場合は「ん?」と思いながらそのまま突き進んでしまいました。典型的な猪突猛進タイプです(笑)。

 

本物件の一番のネックはここにありました。元々中華料理屋の寮として使用していた物件なのですが、風呂トイレの水回りが90平米もの空間の中に一つしかなかったのです。更に物件内部には過去に浸水した形跡があり(根太が内部から腐敗)、外壁のコーキングも後から覆い被せたような、怪しい形跡がありました。

どう考えても難易度の高すぎる案件でしたが、恋は盲目。それでも亀有のこの物件が欲しい!という気持ちだけで動き続けてしまいました。

 

 

物件の収支状況ですが、検討当時、2階の3部屋、3階の2部屋で27万円(平均5.4万円)の家賃回収は出来ている状態でした。亀有駅徒歩8分の好立地で27-28平米/戸、しかも各戸に立派なベランダが付いていたので家賃水準としてはかなり割安な設定だったと思います。Homes不動産で確認したところ、駅徒歩10分圏内は1Kで7万円、1DKだと8万円取れるエリアです。一巡後は少なくとも5千円以上は軽く値上げ出来そうです。

 

では肝心の1階部分をどうやって作り込んでいくか。90平米ありますので、4部屋に区切って各戸20平米前後に仕上げる or 3部屋にして28-29平米の広めの1Kか1LDKを作るかで検討しました。

問題は水回りと防水工事です。部屋数が増えるほど風呂とトイレの数が増えますので、その分百万円単位でコストが変わってきます。現地に1日張り込んで、計8社から相見積もりを取りましたが、最安値でも1000万円、高いと1500万円以上という見積もりがきました(外壁塗装込み)。

 

間を取って1250万円でリフォームした場合の収支を計算してみます。築年数もそこそこ経過していますし、部屋は広めに取って3部屋としました。

物件価格5100万円+リフォーム費用1250万円=6350万円

家賃設定を固めに見て平均6.5万円とした場合、8部屋で52万円/月(満室時)

リフォーム費用込み、90%融資をトラストから引いたとして、5700万円、2.9%(5000万円以上)、25年で月の返済は26.7万円

満室時の月CFは25.3万円、返済比率は50%チョイ・・・あれ、全然悪くない(笑)。

 

 

4)ファイナンス(融資)の検証

続いて肝心要の融資付けについて。最初に結論を言うと、結局のところ、本物件は融資をつけてくれる金融機関が一行も見つかりませんでした

土地建物に対しては80%とか90%の融資は付くのですが、1000万円超掛かると想定される(それも本当のプロにかかったら半額で済むのかもしれませんが・・・)リフォーム費用込みでの融資は全行不可。苦し紛れに1階を自邸に変更して住宅ローンが引けないかとも検討しましたが、それも全てNGでした。

従い、手元キャッシュを1000万円以上、出来れば2000万円以上保有しており、更にその資金を本物件に投下出来ることが挑戦の前提条件でした。残念ながら僕にはそこまでの資金力はなく、良くも悪くも撤退を余儀なくされました(ROIから考えると、仮に1500万円を本物件に投下して、満室CFで25万円、年間300万円で回収年数5年。固定資産税や諸々のコストを度外視しているので、実際には6-7年掛かるかもしれませんが、まあまあの数字です)。

 

5)バリューアップ余地

本物件の魅力は、亀有駅徒歩8分の好立地と現状の割安な家賃設定でした。間取りから考えた周辺相場家賃との乖離は万単位。これを徐々に是正していくだけでも相当な収益アップに繋がります。

物件の状態は割と綺麗でしたが、物件横に駐車場化出来そうなスペースもあり、1階の改修と合わせて外構もセルフで整えればかなり良い雰囲気の物件になる可能性がありました。ネット環境の整備、宅配ボックス、モニターホン等の設備も拡充すれば、長く選ばれる物件に育てることが出来たと思います(遠い目)。。。

 

6)出口の選択肢

もちろんピカピカの超一等地ではありませんが、都内23区で駅徒歩8分の立地であれば選択肢は無数にあります。バリューアップして利回り8.5%で売りに出した場合、売却価格は7340万円。5100万円+取得費8%+1250万円(リフォーム)で考えた場合の売買益は600万円程度。

近隣は住宅地なので土地売りも可能ですが、形が歪だったので割れて2区画程度。この場合は解体費等を考えるとトントンか若干厳しい可能性はありました(REINS未チェック)。個人的には亀有という街を非常に気に入ったので、物件を買い切った後にサラリーマンの属性を使ったファイナルフラッシュとして、巨大賃貸併用の用地でも良かったかなと思います(再び遠い目)。

 

7)結論

改めて振り返ってみましたが、難易度は非常に高いものの、やっぱり可能性に溢れた物件だったなと思います。キャッシュが潤沢にあったら挑戦してみたい案件でした。最終的にどうなったか分かりませんが、再生リフォームや融資開拓など、沢山の新しい経験ができた良い物件でした。合掌。

 

 

今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

にほんブログ村 投資ブログ 不動産投資へ

ブログ村と人気ブログランキングに参加しています。やる気注入、応援よろしくお願いします!